阿部「大きいことはいいことだ」

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130思い出  ◆hf2h1o.4Ko
>>126>>129

おれがやり返したのに、なんでおれだけじゃなくて、親父たちまで悪く言われるんだろう。

おれは何か言い返そうとして、だけど、まわりにいる人たちみんながおれを敵みたいに見
ているのに気づいて恐ろしくなった。
じわっと涙が出てきたおれは泣くのを我慢して走って家に帰った。


そんなこともたまにはあったけど毎日の生活は概ね穏やかだった。
おれたちは3人でどこにでも出かけた。
テーマパークのような場所よりも、キャンプ場でバーベキューや花火をしたりする方が楽
しかった。
野球場が併設されているところでは、その辺の人をつかまえて即席の野球チームで試合と
かもした。
三橋さんと親父はバッテリーを組んで三振の山を築いたが、あまりにレベルが違いすぎて
つまらないと言われ、その後からは小難しいことはやらなくなった。
三橋さんがあんまりカッコよすぎておれはただぼーっと見ていた。
なんて楽しそうに投げるんだろう。
親父がパパッとサインを出すと、三橋さんは1つ頷いてきれいなフォームでボールを投げ
る。
そんなにスピードはないのにバッターは面白いくらい空振りした。
三橋さんてすごい人なんだな。
ちょっと挙動不審で、家では親父に尻を触られて「ひゃっ!」とか言ってる三橋さんとは
まるで別人みたいだ。
だけど、この楽しい時間におれはふっと不安のようなものを感じていた。
三橋さんと親父の息があまりにも合いすぎていたからかもしれない…。



ここまで