阿部「大きいことはいいことだ」

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126思い出  ◆hf2h1o.4Ko
※少し未来の話。捏造多数注意




おれがまだ小さかった頃、数年の間だったが男のお母さんがいたことがある。
親父がある日いきなり「再婚する」とか言い出して連れてきたのがその人だった。
実の母親のことは親父も話したがらなかったし、おれの記憶にもほとんど残っていない。
新しいお母さんが来ると聞いてむしろうれしかったおれは、引き合わされたなんだかぼけ
っとした男を「この人と再婚するから」と親父に言われて驚いたなんてもんじゃなかった。
困ったおれは親父とその人を交互に見て「新しいお母さんの、友だち?」と聞いた。
その人…三橋廉さんの泣きそうな顔はあれから10年経った今でもはっきりと覚えている。


10年前に日本でも同性同士の婚姻を認める法律が可決された時の騒ぎは相当なものだっ
たらしい。
ガキのおれは大人たちがなんか騒いでんなぁーくらいにしか思ってなかったけど、まさか
おれの親父が男と再婚するなんて予想外だった。
三橋さんは高校で親父と一緒に野球をやっていたそうだ。
だとすると、親父はその頃から三橋さんを好きだったのだろうか。
曲がりなりにもおれという子供をつくっておきながら、実は男の方が好きなんて詐欺じゃ
ないのか?
もしかしたらおれの本当の母親もそのことに気づいて早々に見切りを付けたのかもしれな
い。