「おい三橋、あんま、疲れをためないようにしろよ」
「う、うん、ありがと、う、阿部くん」
ミハクソは、いつものたどたどしい口調で答えた。
いつものことだが、コイツは私をいらつかせる。
「……マッサージしてやろうか?」
こんなキモい奴に阿部君が優しくする意味がわからない。
バッテリーだからって、気を使いすぎだと思う。
「お、オレ……」
「阿部くん、いこー、早くしないと親帰ってきちゃう」
「ん……、おう。じゃ、三橋、体調管理ちゃんとしろよ」
「う、うん、ま、また、来週、ね」
「じゃあね、三橋くん」
「う、うん」
どもるなよ……。
「あ、どもっす、マネージャー」
1年生の中村君だ。
「中村くん、例の件、頼むね」
「……わかってます、へへ」
「ん、なんだ?例の件って?」
カンがいいのかな、阿部君って。
「あ、中村君に三橋君のマッサージお願いすることにしたの」
「あ?三橋のマッサージは俺が」
「バッテリーだからって、三橋君のこと何から何まで阿部君がやらなくてもいいんじゃないかな」
「……」
何か言いたげだったけど、過保護自覚があるのか黙る阿部君。
「じゃ、中村君、お願い」
「任せて下さいよ、ひひ」