俺「おい不細工!ブサイク来いよ!」

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やっと書き終わった
スレタイ再現


本日晴天、体育祭日和也。

暑い……
色鮮やかな空を仰ぎながら、普通体育祭って秋口にするもんじゃねぇの?と白く輝く太陽にケチをつける。クソッ、太陽が……眩しいぜ……
どこの誰が決めたのかは知らないが最近は初夏に実施するところも多いらしく、ここ西浦もそれにならい六月に行うことになっているらしい。
下手したら梅雨と被る可能性もなきにしもあらずなのによくやるなぁといった気がしなくもないが、延期や中止になったところで特に困らないのも本音だ。
オレは自他共に認めるインテリボーイ、日本語で言うなら引きこもり男児だ。
だからってガリでもメタボでも眼鏡でもブサメンでもない。至って普通の男子学生だ。って何でこんなこと言ってんだか。

ふっと短く息を吐き、じわりと汗が滲む額にハチマキを巻き白線の前に立つ。
だるいなぁめどいなぁとやる気が出ないからってサボる訳にもいかない。
一人何かしら一つ以上の競技に絶対参加なので、オレがふけったら誰かが代理を勤めないといけないのだ何という鬼畜プレイ。
そんなことになったらクラス全員から袋にされちまう。集団リンチイクナイ。
先月のホームルームでそんなことを考えながら適当に選んだ種目が今から始まる借り物競走だ。
借り物競走なんか一種のネタ競技だ。気軽に参加出来るってのがいいね!
これがリレーだったらオレは間違いなくアイキャンフライしていた。自宅のベランダから。ちなみにオレの家はマンションの一階だ。
>>368
軽く首を捻り自分のクラスの待機場所に目をやる。三ヶ月一緒に授業を受けただけの仲間に必死な声援を送る姿を見て何だかジーンとしてしまった。オレは若年寄かっての。
拳を上げへらっと笑うと、やる気出せこらー!と一喝された。
あいすんまそん。

位置について、よーい!
パーン!
体育祭の手伝いに借りだされている陸上部の合図でスタートした。
悪くない反射神経のおかげでそこそこのスタートをする。ハッハッハッオレが本気を出すまでもないわ。
30メートル程先に設置された長机まで一気に駆け抜け、セロハンテープで固定されている茶封筒を一枚引っ掴んだ。
真っ先に茶封筒の中身を見た奴は「ブルマ!ブルマ持ってないか!」とか叫んだり、「盗んだバイク持ってる人ー!」とか叫ぶ声がする。
ハードル高すぎるだろ常識的に考えて。だって今の時代ブルマなんか絶滅しただろ?それよりも盗んだバイクとか今の元号考えろ。いやその前に盗んだを前提に置くな。
一抹の不安を覚えながら封を開け中から白い用紙を取り出す。これ……中間テストの問題が書いてるんだが……凄く、ミスプリです……
こんなとこでケチんなよなーとか思いながら紙を見ると、
『不細工』
と書かれていた。
ブサ……イク……?
>>369
これは、あれだよな、お顔の造形があまりよろしくない人を連れてこいということですよね?
他の奴が引き当てたものよりずっと楽勝じゃないか。
とりあえず九組の待機場所に走ってブサイクを探してこよう。
「俺! 何だった?」
入学して一番気の知れた仲になった中村が駆け寄るオレに問い掛けてきた。
「ブサイク! ブサイク来てくれ!」
借り物の書かれた用紙を皆に見せながらぐるりと辺りを見渡す。
オレの一声に冷たい……と言うか痛い視線が注がれた。何だ……?
「ちょっと俺……まさかあたしらの誰かを連れてく気じゃないでしょうね……?」
「エッ」
これだけ陽が照りつけているにも関わらず冷や汗をかきそうなくらいに冷たい声で委員長が言い放った。
だ、だって、クラスの奴から選んだ方が早いじゃんか!
「あ、私、一緒に行くわ……」
「おー、さんきゅ「義子ちゃんは可愛いからダメよ! 俺もそう思うわよね?!」
ええええええええええええ……
これがあれか、男と女の可愛いの基準の違いか。義子はこうして名乗り出てくれている通りいい奴かもしれないが、やっぱり名乗り出るくらいにはアレなのだ。はっきり言おう。ブサイクだ!
……の割にクラスの女子からは援護の声しか聞こえないのは何でだ。
中村に何でこいつら一致団結してんのって目で見たら、諦めろという目線が返ってきた。越後屋貴様裏切りよったな!
委員長のことだ、ここで男子一人選んでも「あんた友達じゃないの?!」とか綺麗事吐かすんだ。世の中そんなので渡っていけると思ったら大間違いなんだからねっ!
「あーもう分かったよ他探せばいいんだろ……」
しかし女子の無言の圧力に耐えかねてヤケ気味に言い残して他を当たることにするオレナサケナス。
去りぎわにちらっと義子を見てみると、某お月様のような「計算通り」みたいな表情をしていた気がするが見なかったことにしよう……