ある日の休日、早朝。
学校は休みでも部活はある。気は乗らないまま仕方なしに畠は学校に向かって歩いていた。
いつもと同じ時間に、いつもの道をいつもと同じ速さで歩いていく。
ふと、目の前に同じ学校の制服が見える。
段々と近づくと、それが同じクラスの生徒で、しかもいつも自分がイジメている生徒だと分かる。
畠の表情が歪んだ。クラス全員が彼をイジメていた。そして部活内でも、畠は彼をイジメていた。
担任教諭もイジメを知りながらも見て見ぬふりをしていた。
何故、気付かなかったのかと責任を問われるから担任が上に報告なんて出来る訳がない。
中学生ってのはガキだが、ガキゆえに結構エグイことをする。
クラス全員で無視を決めこむ時もあれば、彼が何かする度に一日中クスクスと嘲笑することもある。
女子が使用済みの生理用品を机の上に置いて「キモい」「どこから拾ってきたの」「変態」と罵る事も
男子がこぞって使用済みのコンドーム(精液入り)を彼の靴の中に入れたり、
彼の腹を殴ったり、彼の体操着を便器に漬けこむ事さえあった。
彼、すなわち、三橋廉。
彼を苛めだすと誰もが自分を止められなくなる。