>>636 なんとなく話を作ってみる
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その時は、本当に三橋に腹が立っていて一発ぶん殴ったくらいじゃ気がすまなかった。
へたり込み俯いている三橋は、体をぶるぶる震わせていた。何でいつもこいつってこうなの?
泣いてるのだろうか?上ずったような怯えたで声で何か呟いている。
それが、たどたどしい謝罪の言葉だと気づいて余計に腹が立つ。
俺はもっと三橋を痛めつけたいような衝動に駆られて、はき捨てるように言った。
「お前‥俺の前から消えろよ」
びくっと肩を震わせた三橋がゆっくりと俺を見上げた。目にはっきりと(傷つきました)と表れている。
傷ついたか?でもな、俺はもっと傷ついたんだよ。
「お前なんか二度と会いたくない」
俺はそういい捨てて三橋を残して部室から出て行った。
次の日、気分が重いまま学校に行った。昨日の今日でまた三橋と顔を合わせなければならない。
が…、部活に顔を出すと三橋は来ていなかった。
三度の飯より野球が好きなあいつが?と驚いたが昨日あんな状態になったので三橋も気まずいのかもしれない。
今日ばかりは好都合だと思った。俺もまだちょっと気がおさまっていない。
>>681 だが、別の違和感が俺を襲った。
誰も部活に来ていない三橋を気にかけていない。監督も休みの三橋のことに何も触れないし、
準備運動が終わったら、すぐに投球練習と言って花井と沖が俺のところにやってきた。
まるで三橋という投手はこの野球部にはいなかったかのような扱いだ。
こうなってくると逆に気になりだして花井に三橋のことを聞いてしまった。
「三橋‥?誰それ?」
「誰って三橋だよ。三橋廉」
「?‥あ、いや俺しらねーけど。他のクラスの奴?」
何言ってんだと思ったが、花井の顔の方が俺を怪訝な顔で見ている。
「どうしたー?何かあった?」
ちょうど田島が通りかかった。
「あ‥今日、三橋なんで休みなの?何か聞いてる?」
「‥三橋?誰それ」
「誰って‥、何言って‥」
田島まできょとんとした顔をして俺を見ている。
何だこいつら。俺をかついでんのか?
訳がわからず腹が立ってきたが、田島も花井もすでに別の話題をはじめ取り合ってくれない。
(何だよこいつら)
俺は、不愉快なって三橋の話題を出すのをやめた。