コンビニでビールとつまみを買った。
不況のせいで週休4日。
真昼間から酒が飲めるとはいいご身分だ。
自嘲しながら、家へ急ぐ。
近所の人に見られたくない。
と、子供用自転車の横で男の子がフグフグ泣いている。
どうしたんだろうと通り過ぎ……うああ、無視したらきっと気になる!
「どうしたの?」
声を掛けると男の子はビクッと肩を震わしてこちらを見た。
「じ、自転車、パンク、しちゃって。
この間もパンクして、お、お父さん、修理代、高いなあって言ってた。
うち、貧乏なのに……」
堪えるように鼻を啜る。
なんだ、その程度のことか。
俺は一瞬考える。
「じゃあ俺が直してやろうか?」
自分で自分の言葉にビックリする。
何、俺?ちょっといい人?ビール温くなっちゃうよ、と心の片隅で言う俺に、悪くないだろと心の中で反論する。
「お、おじちゃん、自転車屋さん?」
おじちゃん、かあ……。まだ20代なんだけどな。
ちょっとがっくり来ながら首を振る。
「自転車屋さんじゃなくても直せるよ」
学生時代はよく直したから大丈夫だろう。
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さて、いい所ですが自転車のパンクを直しに行ってきます。