ウルトラ勃起「降臨!淫獣を退治してくれるわ!」

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538fusianasan
(*゚◇゚) < へ、返却期限は守って下さい、ねー

「お、俺さんっ、予約の本入ってます、よー。」
久しぶりの休日、ぼんやりしながら図書館へ来た俺に司書が声をかけてきた。
そういえば時代小説を予約していたっけ、話題の本だから結構待つって事だったけど本当に二ヶ月以上待たされたなー。
ありがとう、と礼を言って本を受け取る。相変わらずビミョーな笑顔の男だ。けどコイツ俺のこと覚えてくれてたんだな、それはちょっと嬉しいかも。

「そうだ、俺最近すごく忙しくてね。何か癒されるお薦めの本ありませんか。」
俺の質問に司書は、イヤシ…と小さくつぶやき「ちょ、ちょっと待ってて」とバタバタ走って行ってしまった。
‘いやし’だよな、‘いやらし’って言ったんじゃないよなーなどと埒もない事を考えてるうちにまた足音高く司書がかけ戻ってきた。
「こ、これ、話題になったからご存知かもだけど。」
手に1冊の青色が綺麗な写真集らしい本と2冊の絵本。絵本の一冊は見たことのある表紙だった。
「この絵本は、どっちも飼い主とペットの、あ、愛情と別れが描かれているン、です。オレは泣ける、と思います。実際オレ泣いてしまって…。
けど、涙にはストレス物質が含まれていて、な、泣くと気持ちがスッキリするって、アノこれ高校時代の恩師の受け売りです、けど。」
「それからっ、コノ写真集は月の光で撮られた風景の写真集でとってもキレイ、なんです。青くて透明感あって、き、気持ちが落ち着くと思うんです。」
受け取った写真集をめくってみる。本当に綺麗で幻想的だ。絵本の方はココで泣いたらまずいのでめくらない。
「ありがとう、じゃあこれも一緒に貸し出しお願いします。」

貸し出し手続きをしてもらい本を鞄にしまう。
何となく、何となく立ち去りがたくて司書にもう一度本の礼を言う。
彼はまたあのビミョーな笑顔で「気にしないで、し、仕事ですから」とこたえた。
仕事かー。そうだよな、仕事だよな。ハハッ…

「あっ、あの、俺さんは、お仕事無理しないで、下さい。体こわしたらダメ、ですよ。あの、忙しいから頑張らないと、でしょーけど、でもあの…
すみません、オレなんか、余計なこと言って…でもオレ…あのっ」
頬を染めてなんだか一生懸命だ。ハハハッ笑えてくる、俺の顔もにやけてくる。
「ありがとう三橋君。またお薦め教えてくれるかな。」
目見開いて首が取れそうなくらいブンブンうなずいてる。本当に笑えてきたw。
じゃあまた、と俺は笑いながら、晴れやかな気分で図書館を後にした。

おわり
俺の一番の癒しは三橋だと再認識したそんな妄想