空には雲がびっしりだぜ
阿部君のちょっと上ずった声が
じゅぷじゅぷ、という音に混じって背後から聞こえた。
誰もいない部室にオレと阿部君の荒い息遣いと水音だけが響くのに
恥ずかしくなった のか?
オレは小さな窓枠に引っ掛けた手を支えに顔を上げて空を見る。
ほんとだ。
その拍子に体の位置が少しずれて、がまんしていた声が出る。
オレはお前にトラウマなコースの球なんて投げさせねーぜ・・・!
オレの喘ぎに合わせるように、背後からまた声がする。
何の事、か?
阿部君は時々、悪戯で舐めた安っぽいスパークリングワインみたいな
すっぱい言葉でオレを混乱させるんだ。
さっき渡した脂たっぷりの高級チョコを少しだけオレの穴に入れる阿部君。
オレは理性でなくて感覚で先代の格さんを探していた。