成人誌「お前新人の癖に中古なんだって？」

間に合わなかった
季節は夏だと思ってください


おかあさんにおつかいをたのまれてオレはちょっと遠いスーパーまでお買いものに行った。
オレはもう６才だからおかあさんのお手伝いするし、ひとりでお買いものもできるんだ。
自転車をこいで、ムッフフーンってはなうたをうたいながらおっきい坂道をびゅーっておりると、風が冷たくてきもちいい。
今日の晩ごはんはカレーだ。
おつかいのメモにカレー粉って書いててすっごくうれしくなった。
メモに書いてるのをまちがえないようにさがして、レジでおねえさんにお金をわたして、ふくろにつめた。
ちょっと重たかったけど、オレは男の子だからこれくらい、へっちゃら、だ。
スーパーのふくろを自転車のかごに入れておっきい坂道をいっしょうけんめいこいだ。
家についたらカレー作るのをおてつだいしよう。
おてつだいするとあじみさせてくれる。晩ごはんには食べれるんだけど、あじみのときにちょろってなめるカレーってなんだかちがう味がする。
オレ、カレーだいすき、だっ。おかあさんの作るカレーは、あまくて、それでにんじんがでっかくてやわらかい。
そこにたまごが乗ってたらすごいごちそうになる。
今日はたまごついてるかな。おつかいのメモにはなかったからもしかしたら付かないかもしれない。
でも、今日はおつかいのおこづかいにアイス一個買ってもいいよって言われたから、たまごなくても平気、だ。
カップに入ったバニラのアイスを買った。とけないうちに早く帰らないと。
自転車をいそいでこいでたんだけど、チンチンチンチンっておっきい音がした。

>>129
「あ……っ」
スーパーに行くまでにはおっきい線路をわたらなくちゃいけなくて、電車がきたらけっこうまたなくちゃいけなくなる。
自転車のブレーキをかけて、赤く光るランプを見ながらはやく電車がきて、ぼうがあがらないかなぁとまつ。
「チンチンチンチン……」
まだ電車がとおらない。もうちょっといそげばよかった、かな。
「チンチンチンチン」
「ちんちんが好きなのかい…？」
音にあわせてチンチンって言ってたら、うしろからいきなり声がした。びっくりしてうひって変な声がでちゃった。
うしろをみてみると、あついのにしろいタイツみたいな布のふくをきていた。海にもぐっておさかなさんとかとる人みたい、だ。
でも、ネクタイもしてて、なんだか、へ、変なおじさん、だ。
ちんちん、が、好きって、どういうこと、かな。
「えと、電車は、かっこいい　から、好き、です…でも、このチンチンいってるのは、待たなくちゃいけないから、あんまり好き、じゃ、ナイ　です」
変なおじさん、だけど、ニコニコしててわるい人には見えなかったから、ちゃんとこたえた。
おじさんははぁはぁ言いながらオレを見てる。オレ、なんか変なこと言ったのかな。
「ハァハァ……ちょっとおじさん暑くなってきちゃったよ……」
やっぱり、あの服はあついんだ。
あっ。
「こ、これ、いります、か……？」
きっとあついからハァハァしてるんだ。
スーパーの袋からアイスをとりだしておじさんにわたした。

>>129、130
オレも食べたかったけど、こまってる人がいたらたすけなさいっておかあさんも言ってる。
オレはあついけど、はぁはぁしんどそうに息をはいてるおじさんを見ると、たすけてあげなくちゃって思った。
「　　　　　ぉ　　　　　　　ご　　　　た　！」
「えっ、な　なんです　かー？！」
おじさんが何か言っていたけど、ちょうど電車がとおってぜんぜんきこえなかった。
オレもおっきい声だしたけど、きこえた、かな。
電車がとおって、チンチンチンっていってたのもとまって、ぼうがあがった。
「ご、ごめん、なさい、きこえなかったんです、けど、なんです、か？」
「いや、たいしたことじゃないんだよ」
おじさんはさっきよりもいっぱいはぁはぁしててほんとにくるしそう。
「あの、だ、だいじょうぶ、ですか？」
「何でもないんだよ」
「そ、そうです、か。オ、オレ、おうちかえります、ね！」
おじさんがだんだんオレにちかづいてきて、ちょっとこわくなってきちゃったから、自転車をめいっぱいいそいでこいでおうちに帰った。
お、おじさんにわるいことしちゃった、かな。なにかりゆうがあったのか、な。

>>129-131
おうちについて、おかあさんにかいもの袋をわたして、いっしょにカレーを作ることになった。
アイスは買わなかったのってきかれたけど、とちゅうで食べちゃったってウソついちゃった。
変な人にはついていっちゃダメよって言われてたのに、まもらなかったから、おこられると思ったんだ。
おかあさんは「そう」とだけ言って、れいぞうこからたまごをだしてきて、「今日はゆで卵カレーに入れてあげるわね」って言ってくれた。
たまご！だ！
アイスが食べれなかったのはザンネンだけど、たまごとカレーが食べれてしあわせでした。

つぎの日の朝、おとうさんとおかあさんが、しんぶんを見ながら、この辺でへんしつしゃがでたみたいだなっておはなししてた。
へんしつしゃって変な人ってこと、かな。
昨日のあのおじさんなのかな。「レン、変な人にはついてっちゃダメよ」って言われたから、「うん」ってちゃんとへんじした。
こんどあのおじさんをみつけても、アイスはあげないぞって思った。

終わり