雀の鳴く声が聞こえないから、まだ朝じゃないと思ったんだ。
奇妙に光りが外から漏れて来るから思い切ってカーテンを開けた。
誰もいない街は白一色で覆われていた。
夜、どおりて寒い訳だ。俺は隣に手をやると寝ている筈の三橋がいない。
見渡しても部屋は空っぽ。さては、あいつ、雪が嬉しくて外に飛び出したな。
ハンガーに架かったダウンジャケットを羽織って玄関からマンションのエントランスへ出る。雪が降った時独特の冷気が鼻を刺す。
静まりかえった冬の日曜の朝。満面の笑みで雪だるまを作る三橋を想像して俺はほくそえんだ。