三橋「お おっきく なった よっ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
>557 おやすみはし。

これだけの条件だけで見分けられるやつがいたら、俺はそいつとは友達になれない気がする。
だから、見て分かる違いは首輪をしてるかどうかだけだ。
これは当局に定められてるからな。
首輪も無しで出歩いてるのが見つかったら、野良愛玩人として保健所送りになってしまう。
いい子の皆は自分の家の愛玩人の首輪をイタズラで取ったりしたら駄目だよ!
本気でもう二度と会えなくなっちゃうかもしれないからね!


カランコロンと店のドアが開いて誰かが中に入ってきた。
帳簿を付けていた俺が顔を上げる。
「こんにちは」
にこやかな笑顔。癖の無い顔。中肉中背。俺はスッと帳簿に視線を落とす。
「あーなんだ。ニシヒロか。どんなお使い?」
帳簿を見ながら言った俺に困ったような笑い声が聞こえた。
あれ?
今見たニシヒロを思い出す。
結構いい服を着てたよな。
ん?
あれ?
バッと勢いよく顔を上げた。
ニシヒロは首輪をしていなかった。
愛玩人に絶対必須の首輪をしていないってことは、このニシヒロは愛玩人じゃないってことだ。
この世で唯一、ニシヒロと同じ顔の人間と言ったら。
「すいません!!いらっしゃいませ!!」
俺は椅子の倒しながら立ち上がり、腰を直角に折る。
この客はニシヒロコーポレーションのトップ、ニシヒロ社長、その人だ。