血便とか
最近どこか体調が良くなかった。
それは外見にも表れていたらしく、監督に無理やり早退させられた。
皆が顔をしかめていたのを見るに、きっと顔面蒼白だったのだろう。
ベッドの上で寝返りを打つ。
どれくらいこうしていただろうか。
天井を見ているといちいち不安が浮かんでは消えなくなる。
窓の外を見ると橙になるころには家についていたはずなのに、外はすでに真っ暗だった。
何かが恐ろしくて、枕に顔をうずめた。
そのときだった。
(また・・・)
下腹部が圧迫されるような腹痛が体を襲った。
その直後に襲ってくる感覚。
三橋はふらつきながらも慌ててトイレに駆け込んだ。
ズボンとパンツを一気におろし、便座に座る。
びちゃ、びちゃ・・・
本来排泄されるだろうそれとは全く違う音がする。
眉をひそめ、トイレットペーパーで器官を拭くとべっとりと血が付いた。
そして便器の中にあるのは血と・・・肉片だ。
まるで内臓の一部を切り裂いたかのような小指ほどの肉の塊。
それが血の海の中に在る。
ぴちぴちと動くそれ。
その光景に嫌でも昨日彼に言われたことが思い出される。
「三橋、お前は人間じゃないんだよ。早くこっちに来いよ」
排泄物が血と肉に変わったのはいつからだろう。
自分の体が人間ではない。そういわれて一番違和感が無いのが自分自身なのだ。
しかしその事実は到底簡単に受けれられるものではない。
恐ろしくなって慌ててレバーを引きそれを流した。
涙があふれて止まらなくなった。