進路指導「三橋は将来アナリストになりたいのか」

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567アノヨケイタイ
※死にネタ注意

その夏、西浦野球部は順調に夏大を勝ち進んでいた。
4回戦目が終わった後、事件が起きた。
それぞれ帰路についた部員の内、一人が若い女性が不良に絡まれているところに遭遇した。
彼は、女性を助けようとしたため不良たちに殴られ頭部を強打した。女性は助かった。
家に帰るまで彼は、生きていたが打ち所が悪かったらしく、朝目覚めることはなかった。

***

ブブブブブと携帯が鳴った。(阿部君だ)
オレは、携帯の通話ボタンを押す。

「今日の試合どうだった?」
「か、勝ったよ!」
「やったじゃん。とうとう決勝だな」
「うん。…阿部君のおかげ」
「だから、俺何にもやってねーって」
阿部君の声は楽しそうだ。オレも嬉しくなる。
阿部君に急かされて、今日の試合の流れをオレは事細かに話し、阿部君は、それを興味深そうに聞いて、いくつか意見をくれた。
「阿部君は、やっぱり すごいな」
「お前が頑張ってんだよ」
電話だとすらすら話せる。もっと早くこうやって喋れたらよかったな。

阿部君からこの時間に携帯に電話かかってくるようになったのは、一昨日からだ。
驚いたけど、オレは阿部君が死んだなんて受け入れられなかったら嬉しかった。
夏大の途中だし、皆が心配するといけないからこのことはオレと阿部君だけの秘密になってる。
皆は気味悪く思うんだろうか。
「なんで、電話できるのかな」
「俺もよくわからない」
「阿部君がいるところってどんなところ?」
「さあ?…真っ白?」
568fusianasan:2008/11/28(金) 22:39:50
>>567
それから何年もの間、阿部君からの電話は続いた。
嬉しいことや楽しいことがあった時も辛いことや壁にあたった時、いつも阿部君に喋った。
俺が大学を卒業しても、念願のプロ野球選手になっても、それはずっと変わらなかった。
そして、オレはこれからメジャーに挑戦するためアメリカ行きの飛行機に載る。高校時代の携帯を持って。

「俺、きっと野球やりたくって成仏できなかったんだと思う」
不思議な阿部君の電話。もう不思議だと思うこともなくなった。
飛行機の窓から広がる雲海を眺めながらオレは携帯で繋がってる阿部君に答えた。
「今、すごく阿部君に近い感じ」
輝く朝日が眩しい。真っ白な雲の世界はアノヨとつながってる。


おわる
携帯デカ風のバーローものにしたかったネタだったけど俺には無理だった