584 :
秋祭:
夏大で足を痛めてから、三橋との勉強会は三橋の家でなく俺ン家になった。
でも、なんだか危なっかしいから途中までは送ることにしてる。
今日もそんな感じで送って居たら、三橋が急に立ち止まった。
「阿部くんっ これお祭のノボリかなあ」
見ると、近所の八幡さんの祭のノボリだ。
そういや母さんが朝
「今日ほうりゃんせだから、友達誘って行ってみたら?」
って言ってたな。
俺としては、上から撒かれる餅や菓子を人混みの中で必死に拾う祭なんて、今の足じゃとんでもないし三橋にもケガする可能性がある場所なんて連れて行きたくはない。
しかしフラフラとノボリのある道筋を辿る三橋を追ってたら神社に着いてしまった。
「ちょっとだけだからな! 危なくなったら引っ張り出すからな!」
コクコクと菱形みたいな目になってうなずく三橋
こんなこと口煩く言うから、
「阿部は三橋の母ちゃんみたいだな〜」
て田島が言うのだろうと言う事はわかっているが、どうも口と手が出てしまうのだ。