阿部「三橋は俺の嫁」

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67ハロウィンのいたづら
コンコンコンコン
……ック…ート……リック…トリ…

俺の住む安いワンルームの玄関戸を、ノックしながら何やらボソボソ言ってる声で目が覚めた。
時計を見たら、11:50だ
くっそ、明日早いのに、変な時間に起こしやがって。

なんだ? 泥棒か?
いや泥棒はノックしないな
息を潜めて戸の前に立ち、魚眼レンズで外を伺う。
オレンジ色のカボチャがまず目に入った。
体は膝までの黒マントで、
マントの下に伸びてる足は生足でかなりひょろい。
ちょっと肌寒くなったこの季節に随分寒々しく見えた。

そういや、まだ呟いてる言葉は、最近日本でも顕著になって来たハロウィンでよく聞く
「トリックオアトリート」に聞こえなくもない。

いつまでもノックされてるのも迷惑なので、俺は一声掛けてみた。
「うちは菓子を買い置きしない家だから無いんだよ」

トントンは止まった。

「ほ…ホントに何も無いですか?」
「無いな、大概近所のコンビニで買うしな」
「じゃあ、いたずらしちゃいます……よ〜」

そう言って、家の前の怪しいカボチャ頭は指揮棒のようなものを取り出し、ゴニョゴニョと何かを呟いた。