店員「ご一括ですか?それとも分割にされますか?」

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47アントールド ◆YlCy0FmBNY
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1224342007/754

/沖

鬼気迫る投球で、三橋は二回戦を乗り切った。
阿部のミットの音が忘れられない。三橋は、恐ろしいほどにエースだった。

ミーティングとランニングを終えた後、花井と巣山が出した話に驚いた。
「そういえばあそこの河川敷、昨日じいさん…いや中年?階段から落ちたらしいな」
「あー知ってる、夜の短いニュースでやってたって、そんで近所だっつってた。オレは見てねえけど」
あと栄口と西広も知っていたらしく、みんなの話を合わせると概要がわかった。
昨日の朝、土手の階段で倒れてる男が見つかり、首の骨が折れてて、運ばれた病院で死んだ。
住所不定無職で麻薬中毒。そうか、あいつ死んだんだ。

痛む頭、ふらつく視界、男は足を踏み外す。落ちた原因は薬だけだろうか。
多分オレ、間接的にやっちゃったよ。
小さな声で笑ってたみたいだ。そばにいた栄口が、どうしたのと首を傾げた。
「え…えーと、雲の形が全部食いモンに見える…」
「うわ、沖が田島みたいなこと言ってる!めずらしー」
名前を出された田島は雲を指差しながら、食べ物の名前を挙げだした。
辛気くさい話題は、いつもの「うまそう!」という声であっという間に消えた。
三橋はボーっと空を見上げていた。阿部が、それを黙って見てた。

練習が終わって着替える前、阿部に呼び出された。質問は、結局たったひとつだった。
「三橋が眠れねー理由、お前知ってんのか」
「知らない。でも、1回戦の前から寝不足なのは知ってて黙ってた。ごめん」
そうか、と言ったきり、その場では深く突っ込まかった阿部は、帰りの分かれ道でオレをじっと見た。
「お前、家…あっちだろ」
「うん、そうだけど、三橋と帰りたくて」
オレも阿部にしっかり目を合わせた。
今日は田島がまっすぐ帰っていて、ここにはいない。三橋はキョドってる。
生温い表情で目を細めた阿部は、あっそ、じゃあなと去っていった。