すっかり日も暮れた頃、俺と三橋は帰途についた。
真っ暗な暗闇の中、ちかちかと街灯だけが道を照らしている。
カーキ色のシャツの袖をちょんと摘みながら、三橋は俺にひょこひょこと着いて来ていた。
しんなりとした空気は、どこか居心地が悪かった。
三橋はうう、とかああ、とか何かの言葉を飲みこみながら時折小さく呻いていたが、あえて俺はそれを聞かないふりをした。
ずるい男なんだと思われたっていい。むしろそう思われた方が三橋のためになるかもしれない。それでも。
シャツを掴むこのタコだらけの手を軽く振りはらい、冷たくなったその白い手をぎゅっと握りしめた。言葉には出来なかった。