俺A「おはよう、三橋たんの…」

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オッス!お前ら!俺だよ、俺俺。

ナンタルチアサンタルチア。俺のちょっとした癒しのひとときは会社でmihashianaをのぞくことなんだけど、同僚に『俺ら』がいたんだ。一時期に比べ人数は減ったといったって巨大匿名掲示板だ。
ひとり書き込んだらROM部の俺らが30人は同時刻にブラウザを開いている(俺調べ)のだから、同じ会社に『俺ら』がいたって何らの不思議もない。……だけど。考えてもみてくれよ、ブラザー。
他の俺らなんてみたくもない。俺はひとりでこっそり楽しみたかっただけなのに。
あいつと同じ部署になって以来、俺はケータイ書き込みを余儀なくされている。本当に腹立たしい。

……

以下、ややこしいので俺=俺B。もうひとりの俺=俺Aとする。
何故、『俺』が俺Aではないのかとか、そういうことは紙と一緒に便所に流してくれまいか。

……

俺Aは俺(俺B)以上に俺ら度がスパークしている俺だ。
こっそり空いた時間に書き込むならまだしも(会社のシステムの奴らにはばれているのだろうが、多少は黙認されているのだろう)、日常会話でねらー語を使う、つまりは痛い奴なのだ。自分で言うのもなんだけど、『俺』はこんな『俺』と同類に扱われたくない。断じて。

「三橋たんかわいいよ三橋たん」
「わっふるわっふる……」
「ああ…今日もいい笑顔だ」

書き込むのはまだいい。だが、いちいちいちいち音読をするのはやめてくれまいか。
こいつが重度のねらーだということは隣りの部署にも知れ渡っているので、もう誰も何も言わない。失笑さえもされない。
昼休憩を終え会社に戻ると、ランチパックを咥えながら、昼休みにブラウザを開き書き込んでいる俺Aの後姿がぽつんとあった。その丸まった後ろ姿が、『ナイスヒップ!』と嬉々として呟いているそのさまが、己のmihashiana狂いを見せつけられているようでたまらなかった。

俺Aの隣りに座り、ブラウザを覗き込むと専ブラの三橋が尻を向けていた。
…こいつ、会社で専ブラとは。私物化も甚だしい。俺Aは横に座った俺を横目で一瞥すると、すぐに視線をウインドウに戻した。