秋丸「ミハしり追〜いし香具山〜」

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>316 おやすみはし。
「そっか、道理で!でもな〜可愛いけど、兄貴と同じ愛玩人を持つのもちょっとアレだもんなあ」
「そうですね。まあ同じ位、家族で同型を持つ方も多いですけどね」
「そうなんだ」
俺の話には興味無さそうに、チヨが運んできた紅茶を口に運ぶ。
「今日は兄ちゃんの付き添いだけのつもりだったんだけど、マリア、いいですね」
「お気に入り下さいまして有難うございます」
「来年の夏前に今うちにいる子が終わるから、それの予約って今入れられるの?」
「勿論ですとも」
今の俺が揉み手をしたら、どんな冷え性の手だとて太陽の手になるだろう。
そんな勢いで、しかしその勢いを隠しながら応答する。

そんなこんなで一件御成約〜!わ〜い、ブルジョアジー万歳っ!

チヨとルリに色々と奉仕させながら、シュンさんは溜め息を吐く。
「まだかなあ、兄ちゃーん」
離れた所の仕事机に向かっていた俺は時計を見上げた。薬剤を挿れてからそろそろ2時間半だ。
「もう少しですよ」
「そっかぁ。うっ」
呻き声が聞こえたのには知らない振りをする。
コンコンと、廊下側の扉が叩かれて、少しだけ開けられる。
「おっ噂をすれば」
振り返ると、阿部さんがチョコッと顔を出しておいでおいでと手まねきをしていた。
「なんですか?」
近寄ると、阿部さんはボタンも嵌めず、ベルトも締めていないだらしない格好だった。
「あのさあ、延長、できる?」
ハイ、以外の返事を予想していない笑顔に俺は頭を下げた。
「申し訳ありません。それはすぐには難しいですね」
「ええええ!なんでだよ」
あっという間に不機嫌になる阿部さんに俺は再度頭を下げて、もう一度薬剤を使うには時間が必要だと説明する。
それでも不機嫌そうな阿部さんにどう対処しようかと迷っていると、シュンさんが助け舟を出してくれた。
「兄ちゃん、無茶言うなよ。そういう店じゃないんだよ、ここは」