阿部「お前の炊いた米が毎日食いたい」

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703偽りの螺旋・阿部の場合
>41 アニメの新番組、何見よう。おやすみはし。
小一時間も経っただろうか。
その間、阿部さんは片時もレンから目を離さかった。
阿部さんはレンにひとしきりスクワットをさせた後、腕立て伏せ、腹筋、踵上げ等、一通りの筋トレをさせた。
レンは顔はもう涙なのか汗なのか鼻水なのか涎なのか判別付かない体液で、ベトベトになっている。
「一応断っておきますが、愛玩人は年齢固定タイプはトレーニングさせてもほとんど筋肉は付きませんよ」
「分かってる」
「そうですか。すみません」
俺と会話した時ですら、阿部さんはレンを凝視していた。
年齢固定タイプは、今の肉体の現状を維持するよう遺伝子にプログラムされてるので、暴飲暴食をさせても極端な肥満に陥らないし、過酷なトレーニングを積んでも筋肉が増強されることはない。
「よし、それまででいい」
唐突に、終わりが告げられる。
「ふはぁ」
レンは糸が切れた操り人形のように地面に倒れ込んだ。
「おいっ」
慌てて立ち上がった俺がレンを助け起こす前に、阿部さんがレンの手を取る。
「立つんだ」
「はぁ、は、はぁ、はひっ」
引っ張り起こされても、レンの息は上がったままだ。
「ほら」
机の上に座らされる。阿部さんは上着を脱ぎ、ネクタイを緩める。そして、レンの前に跪いた。
阿部さんは、お茶を持って来た時に一緒に運ばれてきたお絞りでレンの足の裏を丁寧に拭く。
「あ、あのっあひぃっ」
左足の甲を舐め上げられてレンは声を上げた。
「あぁっああっあっいやっ、き、汚い、です、よぅ」
「平気だ」
レンが喘ぎながら、懇願するのに、阿部さんはにべもない。
ピチャピチャと舌がレンの肌の上を蹂躙する。
「あ、あぁ、オレ、オレが、オレがぁします、します、からぁ」
阿部さんの顔がレンの膝の所まで来るに至って、レンの肌の色に先程までの紅潮とは一味違う朱が混じる。
「いい、脹脛だ」
一言呟いた阿部さんは、右足を手に取る。