けたたましい音が頭をぶち抜くような大きさで響いてきて、意識はぷつりと唐突に途切れた。
目が覚めるとそこは病院のベッドの上で、真っ白なシーツの上で意識を取り戻したオレの顔を家族が目に涙を浮かべながら見つめ……――と、そうそう都合良くはいかないのが現実だった。
意識はある。
オレは病院のベッドの上にいる。
ただしベッドの上は上でも、横たわった自分の体のさらに上、空中という不安定な場所でオレの意識は揺れていた。
え?ちょ、なんなんだよこれ。
オレがここにいんのに、目の前にオレの体があって、そこらじゅうから白い包帯が覗いてて。
ご大層な機械から伸びた線が全身に繋がれ、口には酸素のマスク。
固く目を閉じたオレの手を握りながらベッドの横で母親が肩を震わせていた。
その横には眉をひそめ、今まで見たことないような難しい顔をした弟がいて、その肩を撫でている。
病室の出口に近い場所では医者と父親が向かいあって難しい話をしていた。
命は取り留めた、だとか、意識が戻る確率は、だとか、今後の処置はご家族がどうとか。
……は?どうなってんのこれ。
懸命にオレの存在をアピールしようと身振り手振り動いてみるも実際動いているかどうかもわからない。
いや多分動いてねえなこれ。
だって体ねえし。
意識はあるのに、体と繋がっていない。
結局、誰にもオレの存在に気付くことはなく、そのまま朝がきた。
オレの体が目覚めることは、当然ながらない。
入れ替わり立ち替わりいろんな奴が見舞いにきて、最後にやってきたのは三橋、だった。