突然流行り出した奇病
それは球児、それも投手だけに限った話で、乳首から花が咲くといった世にも奇妙な病だった。
三橋の胸には綺麗なハイビスカスが咲いた。
その花が枯れると宿主の命も同時に潰える、ということはなく、
ポロリと落ちた花の下には以前よりも綺麗な色の乳首がなんの代わりもなくそこにあった。
三橋は花が咲いてから枯れるまでの間、それをとても丁重に扱っていた。
花が潰れないようにシャツの乳首部分に穴をあけ、風の強い日は捕手のキンタマケースを借りそれを被せ保護した。
他の投手は蕾ができた時点でむしりとってしまう者が大半であったが変人の三橋は蕾がついたら目を潤ませ花が咲いたらそっと花弁を撫で、萎み行くそれに涙を流し、とうとう落ちたそれを土に返し、
その日の夜は綺麗になったニュー乳首を秋丸に舐めて貰いながら夏の終わりを感じていた。
でめたしでめたし