>>544 俺は早乙女オレ之介。人呼んで旗本退屈男。今日も退屈だから悪を成敗するぜ。
「早乙女の旦那!」
おう、おめえは岡引の中村。
「相変わらずの退屈三昧、結構なご身分で」
嫌味を言いにきたのなら、その代金として我が剣法の凄み、その体で味わうがいいぜ。釣りはいらねえ。
「これは失礼を! 実は旦那に片してもらいてえ悪党が一人いるんで」
上州某の代官、三橋引地廉廉(みはしびっちれんれん)というのは、
己の無能を棚にあげ、この役職を誰にも譲りたくない! としがみついておるという太ェ男だ。
太ェ男は俺一人で充分だ。よって成敗することにした。
がらり。ちょいとお邪魔するよ。
「! だ、だだ誰です か」
昼間から焼き饅頭なぞがっつきやがって、最早許せん。すちゃっ。ずんばらりん。
俺の抜き打ちで三橋引地廉廉(面倒だから以後、三橋とす)の服は真っ二つになり、尻だけはむっちりとしているが、他は貧弱な体が露わになる。
「あわわ くせも の だ、誰か出会え 出会ってください」
助けを呼んでも無駄だ。退屈だからすべて眠らせておいた。いいか三橋、よく聞きやがれ。
俺は一つ咳払いをするとよく通る低い声でお決まりの口上を読み上げる。
ひとーつ 人の生き血をすすり
ふたーつ 不埒な悪行三昧
みいっつ 醜い浮世の鬼を退治てくれよう 旗本退屈男
「そ、それ ももたろうざむら……」
ええい黙れ! 悪漢に御仏の情けは無用!
俺は着物を寛げると、三橋を押し倒して存分に手篭めにした。犯した。嬲った。こました。ぱこった。ぬこぬこした。
表現を変えればいいというものではない。
ご存知! 旗本退屈男
今日もお江戸は日本晴れ(おわる)