※ずっと阿部視点
※何か阿部がボンボン
※三橋は出ない気がする
※三橋っぽいのは出るかもしれない
※色々捏造注意
ピンポーン
来客を知らせるチャイムで目を覚ます。
ベッドの横に備え付けた時計の時刻は朝の九時半。
今日もまた日の光を見ることが出来た。
俺は、あと何日朝を迎えることが出来るのだろうか。
ピンポーン
寝起きの頭で耽っていると、二度目のチャイムが鳴る。
そうか、今日は頼んでおいた荷物が届く日だったか。
まだ光に慣れない目をこすり、半身を起こして体を上に伸ばす。
よし、まだ自由は効くな。
確認と共に眠気を覚ます。
ピンポーン
三度目のチャイム。
しつけえな。今から行くっつの。
のろのろとベッドから体を起こしながら舌打ちをする。
人間、忍耐は必要だよなあ?
…なんて、オレも随分性格が変わったな…
「おはようございます阿部さん、○○から荷物です」
玄関までたどり着く間に鳴ったチャイムの回数、五回。
オレがいつも家に居るって伝えてねーのか?それとも居るって分かってっからしつこく鳴らすのか?
どちらにせよチャイムなんざ何回も鳴らすもんじゃねえだろ。運送会社に文句入れてやる。
名前は…中村ね。覚えてろよ中村。いや、オレが覚えてろ、か?
「これ、結構重いですけどどうしますか?」
中村の横にどーんと置かれているオレ宛ての荷物。
荷物は170センチぐらいの人一人が入れそうなでかい箱に、簡素な包装を施したものだ。
入れそう、つーか、入れるんだけどな。
「あー…じゃあオレの部屋まで運んで下さい」
階段上がってすぐ左です、と言い足す。
運送屋の中村が若干嫌な顔をしたがまあ見逃してやる。
間違いが無ければあの荷物は50キロはゆうに有る筈だ。ご苦労なこって。
肩に担いで中村が階段を登るのを見ながら、玄関に備えつけている椅子に疲弊した体を降ろし長い息を吐く。
これでもオレは数年前までは高校野球児で、体力には自信が有った。
厳しい練習にも耐えたし、ついていけていた。
しかし今じゃ少し動いただけで(例えば12段しか無い階段を降りただけで)この有り様。
年々体力が衰えている。しかもあり得ないぐらい急速に。
そりゃもうオナニーすらまともに出来やしないんだぜ。あれって結婚体力要るもんだな。
―――高校卒業を目前に控えた時に病気が発覚した。
よく分かんねえけど、どうやら不治の病らしい。ついでに先は長くないとまできた。
話を聞いた時は、何処の悲劇のヒロインだ、と思ったのだが、両親やシュンの反応を見る限り、冗談ではないらしい。
実際、まだ齢20歳なのにこの体力の無さだ。信じない方がおかしい。
どうせ治らない病気だ、入院なんかしても意味もない。
それなら残りの余生、好きなようにさせてくれと家族と医者に相談したところ、渋りはしたが納得させた。
俺が頼み込んだのは三つ。