俺ら「わっふるわっふる!」

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638真実は何処
※厨二、病気描写、すごく適当注意。


自分の目で見えている物が本物かどうかがわからなくなることがある。
例えば、この紙はオレには青いように見えるが、他人が見たら黄色いように見えるかもしれない。
あの人は笑顔に見えるけれど、他人からは怒り顔に見えるかもしれない。
そんなことばかり考えると、自分の感覚さえもおかしいんじゃないかとも思えてくる。
オレが野球ボールだと思って投げているのは剣山かもしれない。そしてみんなはそれを見て笑っているかもしれない‥‥‥
そんなことはあるはずがないのだけれど、オレはそれがすごく怖かった。
オレは自分の目には見えない、別の世界があるのではないかと考えていた。
時々そんな感覚がどうしても消えなくて、阿部くんを呼ぶ。
今日もまた、呼んでしまった。
コンコン、と部屋のドアがノックされる。
「入るぞ」
ドアの開く音がして、現れたのは部活仲間の阿部くんのはずだ。
「あ、阿部くん?」「阿部、くん、な の?」「ホント の、ホント に、阿部 くん?」
阿部くんに見える人は自分は本物だよ、と言って俺の手を両手で挟み込んだ(ように見えた)。
「手ェ冷えてんじゃん」
とりあえず寝ろと言われて俺は強制的にベッドの上に横たえられる。
阿部くんはベッドのすぐ脇に座布団を敷いて座った。

溜息を一つ吐いてから、阿部くんは話しだす。
「んで、今回は何があったんだよ」
今回は、というそのたった一言で俺の心は閉ざされる。
ごめんなさい阿部くん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
639真実は何処:2008/09/16(火) 01:35:44
※厨二、病気描写、すごく適当注意。
>>638

「な 何も、ないんです よー」
「嘘つけ」
間髪入れずに言われた。
「いつもはちゃんと理由があったじゃねーか」
「そ、そう だった‥かな‥‥?」
「そうだよ。‥‥俺にも話せないような悩みなのか?」
「ち、ちちちち、違う!そんなこと、ない!!」
「じゃあ話せよ、話した方が楽になるぜ」
「う、うん‥‥‥実は、」


☆☆☆阿部視点

「じ 実は オレ、好きな 人、できちゃっ て‥‥‥」
三橋は申し訳なさげに言った。しかし言葉が続くことはなく、みるみるうちに大きな目に涙が溜まっていく。
ああ、叶わない恋なのか。
俺は目を細め、彼の動向を見ていた。
泣き出しこそしなかったものの、三橋はかなり辛そうだった。だからしばらくの間、彼の頭を撫でていた。髪の感触はおもしろいものだったので、もっと撫でていたいと思った。
しかし三橋は寝てしまったので、俺は帰ることにした。
俺の手には三橋の髪の柔らかい感触が、残っていた。

明日、アイツは元気になっているだろうか。