俺ら「わっふるわっふる!」

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395続公務員・三橋
※これまでの話はwiki1参照。チンピラの阿部にちんこに入れ墨されたとこから。

二日。三日。寝て過ごした。
四日目に衛生のため患部の包帯をサージカルテープに換える。
入院は免れたものの、体調は最悪だった。
お医者の話では局部の墨は皮膚が完全に回復してからじゃないと手をだせないらしい。
本当に元にもどるのか。どれだけの時間がかかるのか。
俺はただそれだけが心配で、特別休暇の適応される間はそのことだけを考えていた。
墨が消えるまではできるだけ修ちゃんに会うのをやめよう。
そう思って、できるだけ不自然にならないように、見舞いに来たがる修ちゃんを断り続けた。

そして、五日目の夜のことだった。
その頃には随分回復して、一人でも不自由なく歩きまわることができるようになっていた俺は、
明日から仕事に復帰する旨を中村君に伝えることにした。

「め 迷惑掛けて…ごめん ね」
「そんないいっすよ!いっそもう一日休んだらどうっすか?」
「そ そんな、だめ だよ」
「ハハ 冗談ですよ、仕事溜まってるんで覚悟してくださいね」
「はい…がんばり ます」

軽口だけどどこか温かい声に心の奥がほかほかする。
正直、職場に戻るのには不安があった。またあの人が来るんじゃないかとか。
何があったのか、みんなにバレていたらどうしようとか。
でも、中村君の声を聞いたらそんな不安はなくなり、今まで通りそこに俺の居場所があるんだって思えた。
働きたい。
俺だって、みんなの役に立ちたいよ。
少しだけ元気が出て、明日の準備をしておこうとクローゼットを漁る。
あの日の服は、いつの間にかクリーニングに出されて透明なビニールがかかっていた。
もうこれを着ることはないかもしれないな。
そんなことを考えていると、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。