ウグイス嬢「背番号888番、俺君」

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379俺の宅急便
※以前のやつはwiki2で

「どういうこっちゃ……」
 俺を包む魔法の力とでも言うのだろうか。
 それが極端に薄くなった気がする。
 飛べない。
「そ、そんなはずは……魔法も使えない童貞なんてただの生き恥じゃないか」
 猛烈に襲ってくる虚無感。
 目の前が真っ暗になりそうなほどの絶望。
「飛べ、飛べ……」
 再び箒に跨り、強く念じる。
 すると少しだけ、自分にかかる重力が軽くなったように感じる。
 しかし、体は浮かない。
「飛べ……飛べよ、飛んでくれよ」
 強く、強く、自分が空を舞う姿を思い浮かべる。
 箒を握る手が、強く握り締めすぎて痛くなる。
 そんなことをいつまで続けていたのだろう。
 飛ばない。それが答えだった。
 次第には自分がどんな風に飛んでいたかもわからなくなって。
 俺は無性に手にしている箒が憎くて堪らなくなった。
「ちくしょおおおおお!!」
 思い切り力を込めて、箒をぶち折っていた。
 ぱきぱきと鮮明な音を立てて、竹の破片が飛散していく。
 その一つが頬を掠めて、スパッと小さな傷を作った。