ウグイス嬢「背番号888番、俺君」

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170真昼に見る夢 ◆bnxKZWZnFw
前回wiki参照お願いします。まだエロ無し注意ですサーセン

久しぶりの練習試合。
やっぱり他校のバッターがいると気が引き締まる。
サインが送られ、頷く。
一瞬体の力を抜き水が流れるように力を込める。
キン!
バッドがボールをとらえた。大きく空に舞い上がりボールを追う。
高く高く、高く。
首が痛くなるまで飛んで行った方を見続けていた。
見続けて、見続けて、見続けてもボールは落ちて来ない。
変だ。とホームへ視線を戻すと、そこには半分とけた人間のような形がひとつ。
肌色と白と黒が混ざり合って、まるで色の違うスライムを重ね合わせたようだ。
ぐにぐにと、しゃがんでいる姿勢で左右上下へ体のあちこちが動く。
びっくりして見回すと1塁へ向かう姿の半分以上とけた人間のような形がまたひとつ。
のたのたとこっちも色の境目を消しながら進む。
一瞬駆け寄りそうになったけど、足が動かない。そうこうしてる間にどんどん人間はとけて混ざり合っていく。
気がつくと回りのネットも、木も、草も、電柱も、校舎もどろりととけて原型を留めていない。
どろどろどろどろ。
キーンと耳鳴り、心臓のドッドッドという音と血管で血の流れる音が混ざる。
じんわりと手に汗がにじむ。

すべてとけてしまった。
どのくらいつっ立っていたのか。膝がガクガク揺れて足の裏がしびれる。
ぐらぐらする視界の先に、建物らしき凹凸がまだあった。
それはゆっくり、ゆっくりととけていき最後には横一本線が残った。
マウンドから怖くて降りられない。
太陽だけが頭上高くとけずにいて安心した。