アベ「ところで俺の体毛を見てくれこいつをどう思う?」
オレの家は昔から少し特殊で、その理由を具体的に知ったのは中学生になってからのことだった。
今思えば性的な興奮を自らの知識で覚えて、どこかでボロを出す前に、との両親の配慮だろう。
オレも含め、家族全員純粋な人間ではない。
見た目だけで言うなら一般人のそれとは変わりないおかげで普通に生活するぶんになら困ることはなかった。
ただ一つ、困るのが夜の営みだった。
オレ達は性的興奮を覚えると普段は隠れている本性が外見に現れる。
例えばオレと弟のシュンならば狼のような獣の耳に尻尾、それに加えて鋭い牙。
時々目が赤く光ることもある。
父親は狼人間で、母親は吸血鬼と狼人間のハーフ。
どちらも代を重ねるごとに人間の血が入り混じり、本能は薄れ覆い隠されることさえあれ、消えることはない。
理性が消えてしまえば剥き出しの本能が現れる。
オレ達家族が人間の中で暮らす為に、正体を誰かに知られるわけにはいかなかった。
そして今、三橋廉はオレの家の食卓で犯されている。