ナース「お注射はいりまーす」

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193fusianasan
書きかけ 4ってレスあったの見落としてた

※なでなで注意。

話があるから着替え終わったら残ってろ、と言うと三橋はキョドリながらも頷いた。花井から鍵を借りてみんなが帰った後の部室で二人きり角突き合わせる。
怖がらせないようにどう切り出すか。
ちらりと三橋を見るとそれだけで震え上がって土下座した。
またかよ!ムカツクな!

「ご、ごっごっごめん、な、さぁいい」
「自分で投球のデキわかってんならいいんだよ!土下座やめろ!」
あ、やべえ、と思ったけど遅かった。
三橋は俺の怒鳴り声にビビッて、亀のように首や手足を縮こまらせガタガタ震えている。
またやっちまった。
けど今のはこいつが悪いだろ。見ただけで土下座ってオレは鬼か。クソ。
「ナニがあったの」
声を抑えて。目線も合わせて。
呪文のように心のうちで繰り返しながらまだ土下座してる三橋の前ににじり寄る。
「言えよ」
しばらく三橋はなんかよくわかんねえ音を出してたが、ようやく決心ついたのかやっと顔を上げた。
「あ、あのっ、お、オレ、今朝、し、しらない、人っに、さわっさわさわさわ」
お前はカイジか。
殴りたくなるのを必死で抑えてオレは続く言葉を待つ。
「さわられ、た!」
「ナニを」
「おっ、おし、おし……」
り。
最後の文字は消え入るような声だったが、辛うじて聞き取れた。
さわられた。おしり。
194fusianasan:2008/09/06(土) 23:12:08
>>193 

「はあああああああ!?」
「ひいっ、ごめんなさぁいいい」
だからお前に怒ってんじゃねえよ!
オレは目の前にいる三橋を眺める。
背は高くないし体もまだ細いけど女と見間違えるような体系じゃないよな。第一こいつカッターシャツに学生ズボンで登校してるし。
ケツ触られたって、それチカンじゃねえか。
すげーな、チカンって実在すんのか。しかもホモ。
「どこで」
「チャリ、乗って、コンビニ、とこ、し、信号、待って、たら」
後ろからむにゅっと。
「そんだけ?」
なんかもっとすげーやらしいのを想像してたオレは拍子抜けした。
「そ、そん、だけ…です」
だから、一晩眠れば、大丈夫、と鼻をすすりながら三橋は続けた。
「泣くほどのことかよ」
「だ、だから、言うの、や、だったんだ! …よ。カッコワルい、か、ら」
「…泣いてんの、それでか」
ヒザの上の手にぎゅっと力がこもったのが見えた。
どうすっかなー。よくわかんねーけど一晩眠ってすっきり忘れそうなタイプでもないしな。
━━━なかったことに、してやるか。

オレは立ち上がると自分のカバンの中を探った。
なんでもいいんだ、塗り薬なら。
入れっぱなしのハンドクリームがあったのでそれを手に隠し、もう一度三橋の傍へ戻る。
「あのな、ナイショにしといて欲しいんだけど」
「……な、に?」
オレは自分で笑っちゃわないようにぐっと頬に力を込めた。
「そういうの、なかったことにできる薬持ってんだ」