尚江「どうして廉のパンツだけなくなるのかしら?」

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576ブリブリブリーフ
しまった!今日は身体検査の日だ!
だからあれ程「ブリーフはもう買ってこないで」って言ったのに!
これじゃあ少ない小遣いで買ったたった一枚のトランクスを
毎週体育のある日だけに履いていたこれまでの努力が水の泡だ!
「三橋ー保健室行こうぜー」
あああ俺君が呼んでいる
「さ 先に行ってていい、よ」
今教室にオレ達の他には誰も居ない チャンスだ
このスキにパンツを脱いでロッカーのランドセルにしまい 朝履くのを忘れて来た事にしよう
寝坊して急いで支度してパジャマと一緒に脱いじゃって置いてきた事にしよう
その方がみんなにパンツ見られて笑われるよりマシだ
オレは俺君が廊下に見えなくなったのを確認して片足ずつズボンを脱ぎ片足ずつパンツも脱いでいった
途中でパンツが足にひっかかりひっくり返ってしまったので
慌てて上履きを脱いで纏わり付くそれを素早く脚から抜き去った
使い込んだ感のある白地のそれは洗いざらされて情けなくよれていた 中央にはお約束の黄色いシミがあり
それが表を向き学校のしかも教室という空気に晒されている様はオレの心に耐えがたい恥じらいを誘った
それと同時に少しだけいけない感覚も流れ込んできて、「ああ、露出狂ってこんな感じなのかな」と
あろうことかこんな状況でもふとそんな事を考えてしまった その一瞬の隙がいけなかったのだ
「おい、三橋!」
やばい!俺君だっ!
とっさにオレはパンツもズボンも元通りに履き直してしまった
「保健委員が一番に検査するらしいぞ ホラ、何やってんだよ」
ああ本当に何をやっているんだオレは…こうなったらブリーフ姿で臨むしかないぞ
ちょこちょこっとほんの数分数十秒の我慢じゃないか 考えてみれば名前順が早いクラスメイトにしか見られないわけだし
看護師さんはオバサンだしお医者さんはおじいさんじゃないか 何も怖がる事は無い ただの身体検査じゃないか
体重測って身長見てそれでちょっと聴診器当てられたり前屈したりする
ただ子ども達の成長を確かめる これは行事だ イベントだ
そうだ!嬉しいんだ!生きる喜び!
「う、うん ありがとう…」
しかし、俺君に手を引かれ廊下を過ぎ階段を駆け下り保健室へと向かい
覚悟を決めカーテンの中で勢い良くズボンを下ろした俺は、体から一気に血の気が引くのを感じていた
「三橋く〜ん 三橋廉く〜ん」