>>749 ※阿部獣化注意
大きな猫になり切って三橋と文字通りベッドでじゃれていると、さすがに腹が減ってきた。
起き抜けにひと運動したせいもある。
「阿部君、お腹空かない?」
三橋も同じだったようで、そう言いながらベッドから滑り降りた。
どことなく警戒心が見え隠れするのは、俺が三橋を食いたいと言ったのを覚えているからだろ
うか。
三橋は人間だが、野生動物に通じる何かがあると俺は思っている。
それがこいつを特別だと感じた理由かどうかはわからないけれど。
壁に掛けた時計を見たらもう11時を過ぎていた。
「オレ、なんか買ってくるね。阿部君は お肉がいいかな」
疲れているはずの三橋を買い物に行かせるのはさすがに気が咎めたので、俺は三橋のパジャマ
の裾を銜えてベッドに引き戻そうとした。
三橋は俺の意図がわからないようで困った顔をしたが、前足を使ってなんとか自分が行くから
とジェスチャーで伝えた。
「…でも、人間に戻ったら、もう しばらくは豹にならないんだよね…?オレ、もうちょっと
阿部君と遊びたい…」
俺は子猫じゃねーぞ、と思ったが三橋がそう言うならいいかと床に座り直した。
着替えてから顔を洗いに行った三橋は出かける前にもう一度寝室を覗きに来た。
「じゃ、行ってくるね。すぐ帰るから、そのままでいてね?」
俺は了解、の意味を込めて立てた尻尾をぐるんと回した。
三橋が出て行くと俺は床にでろんと伸びて寝る体勢になった。
どうせ起きていたって何かできるわけでもない。
リラックスしつつ感覚器官を適度に働かせてまわりの様子をモニターしているうちに、ついう
とうとと眠りこんでしまった。
ここまで 投下始めて一年が過ぎようとしている……