実況アナ「西浦の三橋君、顔も赤く汗びっしょりです」
前回あらすじ:廃工場に閉じ込められてしまった三橋、阿部、栄口、水谷、西広。彼らは毒ガス
によって全員記憶をなくしてしまう。そこへ誰の物かも分らない携帯へ田島から電話が。阿部は
殺せたか?という田島の質問のせいで疑心暗鬼になる五人。争い始める阿部と水谷。一方三橋、
栄口、西広は逃走途中爆弾を発見してしまった。
(三行改行お願いします)
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明るめ茶髪の男はだいぶ参ってしまっているようで、中々泣き止みそうになかった。声を抑える
のも無理そうだったので連れ回すのにはちょっと不安だ。
だが爆弾が設置されているのが此処だけとは思えない。もし他にも爆弾がある様ならせめて場所
を把握しておく必要がある。
話し合い(というよりも一方的に条件を飲んでもらったというべきか)によって明るめ茶髪の男
は隣のテレビがある部屋に潜んでもらい、俺ともう一人で爆弾の位置や逃走経路を探しにいくと
いうことになった。
不安そうな顔をしていたが、此方も緊急ということもあって了承してもらった。
一応爆弾が設置してある部屋は相当広く、またテレビがある部屋の壁が厚いのと爆弾から距離が
遠いこともあって、爆弾の威力がそこまで届くことはまず無いだろう。
「とりあえず、この部屋の中で隠れていてくれるか?ちゃんとドアから見えない物影にいるんだ
よ?」
「う、ん。分かっ た。でっでも、なるべく早く、戻って きて…」
この状況で一人置いていくのには気が進まなかったがそうも言ってられない。俺達は不安がる彼
を置いて部屋を出ようとした。
「あ、そういえば…」
俺が振り向くと、座り込んででかいバッグの中から何かを引っ張り出しているのが見えた。…あ
れは…
俺が振り向いたのに気づいた彼は慌てて引っ張り出していたそれをカバンに突っ込んだ。