三橋「じょ 女子と…マイミクになっちゃった うひっ」

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6388月9日
家で高校野球を観ているとインターフォンが鳴った。モニターを見ると門の前で叶が澄まして立っている。その後ろに他の部員の姿も見える。
『叶だけど』
『おー、入って』
簡単に応答して開錠した。突然のみんなの訪問に顔がにやついてしまう。何だよ、サプライズか。
今日家にくるということは今日が何の日か知っているってことだよな。

「誕生日おめでとう」
「おめっとさん」
「おめでとう」
「おいおい、よせやい。何かみんなありがとな」
まるでテレビ版エヴァの最終回みたいに部員に囲まれ、「おめでとう」「おめでとう」と拍手をされるとさすがのオレも照れてしまう。部屋の隅に青白い顔の三橋もいて珍しいな、と思った。
みんなが集まる場所には絶対に来ないというか呼ばれることもない三橋だが、おそらく叶が強引に誘ったんだろう。
三橋の辛気くさいオドオド顔が視界に入るのも苛つくが、祝ってくれるのは誰でもあり難いことだ。

「ちょっとさ、準備するから部屋から出てくれないか」
「何だよ、そんな気ぃ使うなよ」
猫のように目を細めて叶が言い、部屋から追い出された。
「まぁまぁいいって言ったら入ってこいよ」
「おう」