カコイイ職人「俺、叩かれてるが一番気持ちいいんだ」
小学生のとき、少し足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅い三橋君がいた。
でも、長距離走はいつも10位以内だった。
何にも考えてないみたいに、アホ面で走ってた。
彼は、よく1人で球弄りをしていた。
でもキャッチボールしてくれる友達はいないようだった。
算数の時間、三橋君が先生にあてられた。
冷や汗をかきながら、指を使って、ええと…と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑う。
三橋君は顔を真っ赤にさせて、結局答えられずに席に座った。
クラス変えの時季になり、三橋君の引っ越しがクラスメイトに知らされた。
丁度良いので三橋君を中心に、クラスのお別れ会をやることになった。
生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。
もちろん代表は三橋君という流れになった。
子供は残酷なことに、三橋君がお別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待していたのだ。
僕はその時の三橋君の言葉が忘れられない。
「オ、オレを、普通の子と 一緒に勉強させてくれて、ありがとう ございました。」
誰もキョドりながら俯く三橋君を笑う者はいなかった。