カコイイ職人「俺、叩かれてるが一番気持ちいいんだ」

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381黄泉がえり
>>365

三橋は練習に集中できていなかった。
頭に流れてくるのは昨日の出来事、いやそれとも夢まぼろしだったのか。それすらもわからなくなっていた。
昨夜、三橋はいつの間にかこのマウンドに立っていた。
あの大きな地震の後、光に襲われた後、記憶がない。
次に気がついたのはマウンドにいる自分の姿だった。
確かにあの林にいたのに・・・寝ぼけて学校に来てしまったのか。時間も遅くグラウンドには誰もいない。
慌てて自転車置き場に行くと、自分のは無くなっていた。
その日はお母さんに電話して迎えに来てもらった。
自転車が無くなったことを告げると「バカねえ。」と一言言われただけだった。
昨日の出来事は事実なのか、夢なのか・・・

「・・・・・・はし。」
「・・・みはしっっ!!!」
「ふええええええええっっっっ!!?」

ぐるぐると頭の巡る光景を振り払うと、阿部がこちらに向かってズカズカと歩いてくるところだった。
「お前なぁ、いつも気のねえ投球すんなって言ってんだろうが!」
「ごっ ごごめんなさいいい。」
「田島の話気にしてんの?」
「ひ…ち ちが」
「じゃあ何、何かあんのか。」
「あ…な ない です。」
「…そーとは思えないんだけど。とにかく危ねえから集中しろよな。」
「うん、ごめんなさい。」

(また、阿部君に怒られちゃった。きっと昨日の話しても誰も信じてくれないよ な。)
(田島君の話もみんな信じて無かったし。)
(集中、しゅう ちゅう)