叶「レン、お熱計ろうな〜」

このエントリーをはてなブックマークに追加
879偽りの螺旋・三星の場合
>210 おやすみはし。
あーやっぱり、旨い。
愛玩人も基本的な家事のデータは入れてあるから、普通に旨い料理は作れるんだけど、なんか無個性って言うか、微妙な味付けとかがいまいちなんだよなあ。
結局のところ、「作業」の部分はデータでどうにかなるが、「芸術」の部分は毎日の練習とかで味の積み重ねがないとどうにもならん部分がある。
うちだったら、ルリが結構真面目に色々料理を作ってるから、ちょこっと上手なんだけども、それでも到底、この味には敵いっこない。
しみじみ味わいながら、掻揚げ丼を平らげた。本当にこの近所に住みたい。

叶さん達同級生3人が語り合ってるのを横目に、俺達は他の選手と色々喋ったりしているうちに飲み会はお開きの時間になった。
デザートに出たスイカの汁で汚れたレンの顔を拭いていると、会計が始まる。
俺が慌てて財布を出そうとすると、「俺ら儲かってんねんで」と、織田選手から断られた。
叶さんがレンから修悟君を受け取り、手伝って貰いながら背負う。
「サンキュー、レン君」
「ど、どういたしまして」
レンはニコニコと眠っている修悟君の頭を撫でる。
俺達が店から出ると、一番最後だった。
早速、選手達が俺達の周りに集まる。皆いいガタイだから、威圧されてるみたいで怖い。
「おお、叶。またいつでも来いよ」
「待っとるで。次は小さい坊とカミさんも連れて来れたらええな。あ、レン君らの分のチケットも送るわ」
今日は色々ありがとうございますと、俺が頭を下げていると、畠選手がおずおずと出てきた。
「ああーレン君。今日はありがとう」
「うん、オレ、待ってるから!」

最後に畠選手は俺にさり気無く、本当に俺のでも大丈夫かと念押しされて、オッケーですと小声で返した。
そうして俺達は織田選手達に見送られて、帰途についた。

*

9月20日(土)晴れ
今日は野球を見に行った。暑かった。
三星が勝った。良かった。
織田や畠と知り合いになった。叶のおかげだ。
夕飯は球状近くの飲み屋だった。旨かった。