叶「レン、お熱計ろうな〜」

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828筒井筒
>>786
「もっと、もっといっぱい ほし…!」
性交の知識などなくても本能的に覚えている快楽からか、廉が叶の指を咥え込み
更に大きな刺激をねだる様に腰をうごめかす。
あまりに煽情的で倒錯的な光景に、臍の下がぎゅっと熱くなって指の本数を増やし
もはや治療とは名目だけの行為にぼんやりする頭と体を委ねた。

尻を突き出し目を細め、口端から涎を滴らせながら悦ぶ廉を見て考える。
辛すぎる現実と陵辱から身を守るために幼児退行してしまったとしても、
今目の前で快楽に溺れ欲している廉という存在だって本物ではないか?
むしろ、失敗に終わった叶の夜這いの時にしろ、おぞましい大蛇に犯されている時にしろ
いつだって廉にとっての気持ちよさなど二の次どころか置き去りにされるだけで、
廉の体は常に相手の都合や快楽を得るためだけの手段でしかなく。

「廉、入れて欲しいのか?気持ちいいこと、したいのか?」
首をかしげながらも叶の問いに、廉はこくりと頭をふる。

今なら。
やっと今ならば廉自身も満足させてやることができるのではないか。
望まない陵辱ではなく、望む快楽を与えてやれるかもしれない。
何より、生贄の資格をなくすためにという名目だけで、好きでもない男に夜這いなどかけられるわけもない。

(俺は、たぶんずっとこの筒井筒を、自分のものにしたかったんだ)

獣の遠吠えと虫の声だけがかすかに響く山の奥深くに、二人だけ。
荒ぶる神も見張りの村人も、邪魔立てをするもの間を隔てるものはなにもなかった。
「廉、こっち向いて横になれよ」
せめて顔を見ながら、抱きしめてやれるようにと、叶は廉の体を強く引いた。