叶「レン、お熱計ろうな〜」

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一時間程して田島が帰ってきた。三橋は泣き疲れてベッドの上に死んだように眠っている。
先程まで不気味に薄暗かった外はすでに真っ暗にやっていた。
天気予報の通り、嘘のように土砂降りは止んでいる。
「どうだった?」
俺と栄口の声がほぼ同時に発せられ、気持ちのいい程ハモる。
田島はそれに軽く苦笑し、側にあった椅子にドカッと腰かける。
「校内に残ってたのは花井、西広、泉、水谷、沖、あと宿直の先生と職員室にいた先生達ぐらい。怪しいオッサンとかはいなかった」
「そうか…」
犯人は変質者に違いないと思っていたから、それらしい人物が見つからなかった事に栄口と共にガックリと肩を落とす。
「野球部…」
田島ががボソッと呟いた。
またあの、光のない目だった。真っ先に栄口が顔を上げる。
「それはないだろー。俺達の中に三橋に恨みがあるヤツなんていないよ」
「だな。甲子園で優勝できたのは三橋の頑張りも大きかった」

「恨みがあったからヤッたのか?そいつ、好きだったんじゃねーの、三橋の事」

「………………」
「そもそも、なんで部室で、なんだ?今日は確か練習休みのはずで…」
「あ、それは三橋が電話で誰かに呼び出されたんだよ」
俺はあの時の事を思い出しながら言った。
「誰かに部室に呼び出されたみたいで、でも行ったっきり戻ってこなくてさ。それで俺、見に行って見たらこんな事に…なってて…」