三橋「オレ、ガバガバだって、思う?」

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715重い三橋 ◆oazTnvq4Yo
足を開いて体を挟み込まれる。
腰を押しつけられて、既に硬さをもった性器の形をリアルに感じる。
覚悟はしていたものの、いざこの時となると体が震えた。
いつも優しく自分を包み込んでくれる彼が、その目に興奮を滲ませ熱い息を吐いている。
怖い。
「三橋」
耳元にかかった吐息が、普段より低い雄の声が、虫のように蠢きながら全身を駆け巡っていく。
逃れるように手をばたつかせると、押さえ込まれるように手首を掴まれた。
のしかかられたこの姿勢では、足を動かすことすらままならない。
布越しにゴリゴリと性器を擦り付けられ、快感と恐怖にきつく目を閉じる。
「や…」
拒絶を示しても彼の動きは止まらず、むしろ火に油を注いだようにも思える。
彼は乱暴にシャツを捲ると、冷房で冷えた胸にねっとりと舌を這わせた。
なめくじが這い回るような感覚に、鳥肌が立つのを感じる。
「ひっいやあっ!」
しまったと思ったときには遅かった。
一段高いベッドから転がり落とされた彼は、頭を片手で押さえ床に座り込みながらうらめしそうにこちらを見つめている。
「ご、め」
「オレとすんの、そんな嫌?」
「ちがっ、そうじゃ、なく て…」
沈黙が室内を包む。
彼は重苦しい空気を断ち切るようにひとつ溜め息をつき、腰を上げた。
「ちょっと抜いてくるから」
「あ、え お、オレっ」
「…無理矢理して悪かったよ」
ドアが音を立てて閉まる。
この音を聞くたび、心が深く沈んでいくように思えた。
好きなのに。大好きなのに。
自分の腑甲斐なさに、少しだけ涙を溢した。