三橋「オレ、ガバガバだって、思う?」

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545政略結婚 ◆eRDUfXaGp2
パラレル注意


十六になった冬のある日。
オレは見ず知らずの相手と結婚することになった。

相手は同い年の令嬢で、家柄、財産共に申し分ない相手だそうだ。
これはいわゆる、政略結婚だった。
十六になったら結婚するというのは昔から決まっていた事で、
オレはいい加減諦めがついている。
とはいえ、気が進むわけでもなく、むしろ結婚はオレにとって憂鬱ごとでしかなかった。
見ず知らずの相手と一緒に住むなんて煩わしい以外の何者でもない。
こんな世の中に誰がした、
と結婚するその日まで、毎日オレは呟いていた。

**

年が明けて某日。ついに結婚の相手が輿入れしてきた。
親たちは、式の準備の段階で随分と仲良くなったらしい。
廊下のど真ん中で旦那と息子と娘を放り出して世間話に花を咲かせている。
結納の時、オレは結婚相手だというそいつを初めてみた。
背が高めの女で、終始俯きっぱなしで顔はよく分からなかった。
とにかく暗そうなヤツだった。とてもやっていける気がしない。
相手の方もそれは感じているようで、
終始オレの不機嫌なオーラに怯えてビクビクしていた。