三橋「お風呂にする?ご飯にする?それともオレ?」

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268碧い鎖 ◆r2YHExa9lY
>>253 ここまで

【13】
沖とともに救急車に乗ることを止められた面々は、いったん保健室に連れてこられた。
特に三橋と西広の顔色では、教室に戻ったところで保健室送りになってしまう可能性があり、人の多いところにいたいが仕方ない。
「根田宮は気づいたらいなくなってて、梶山さん達も見てないらしい」
体育教師と一緒に運ばれたのか確かめたく、阿部は周りに聞いてみたが、担架で通ったのは教師のみだったという。
「根田宮くんのこと?2年生の」
会話を聞いていた養護教諭の女性が、阿部に話しかける。
「知ってるんすか、どっかで見ました?」
「え、そこで寝てるけど…さっき来て、具合悪いって」
三人はベッドに一斉に視線を向けた。走り寄り、閉まったカーテンを引き開けて確認する。
そこには土気色の顔をした根田宮が、泥のように眠っていた。
「先生、この人についてていいですか。目覚ますまでついてますね」
養護教諭は戸惑っていたが、ただならぬ雰囲気に押されて承諾した。

1時限目が終了する頃、1年3組担任から連絡があり、沖が処置中であることを確認した。
チャイムが鳴るとすぐ、ざわめき声が聞こえてくる。
浜田からの連絡に沖の件と根田宮の件を話す。
3時限目の自習時にこちらへ来るという浜田の申し出に礼を言い、西広は手洗いに行くと立ち上がった。
「早く戻れよ、こいつは見張っとくから」
西広が退出したドアのそばで、三橋はキョドキョドと室外、室内を交互に見た。
「行くなら一緒についてけ、さっさとしろ!」
「お あ、あ、うん!」
阿部に怒鳴られ、走り出す。
「西広君、どこの、トイレ」
三橋は西広が保健室のすぐそばにある手洗いを通り過ぎ、階段を上がるのを見ていた。
姿を見失う寸前で見つけ、後を追う。