俺「み!は!し!の!しお!」

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*解釈によっては死ネタがオブラートに包まれてる可能性があります。苦手な人は注意

泉君と会ったのはまったくの偶然だった。泉君と俺は、高校を卒業してからは俺が群馬の大学に
進んだ事もあって約二年ぶりの再会だった。
「もう大学休みなのか?はえーなー。俺のとこはまだテスト期間だ。里帰りでこっちきてんの?

「う ん。久しぶりに、お父さんとお母さんに会いたかった、し。田島君 にも、会いに行きた
かった から。」
「そっか。あいつも喜ぶよ。あー俺も行くかなー。」
その後俺は後日泉君と一緒に田島君に会いに行くことになった。
俺達は夕日に照らされながらのろのろと移動する。
泉君がぽつりと言う。
「田島なー。昔っからお前とはミョーに馬が合ってたから、会えなくなってお前寂しいだろ。お
前も田島も、双子みてーに仲良かったからな。…うーん、双子っつか、なんかもっと近い感じだ
な。ぜんぜん違うのにそっくりで…上手く言えないけど。」
「う ん。俺ちょっと、…凄く、寂しかった な。でも、ちょっとは慣れた、よ。ちょっと、だ
けど。」
泉君はそっか、といって視線を遠くに飛ばした。蝉の声が響く中、俺達は他愛無い話をしながら
焼けたアスファルトの上を歩いた。
そうして俺は彼に会うのを楽しみにしながら泉君と別れ、家路を辿る。
かつて田島君が見た紅く染まった世界の中で、俺は未だに熱い空気を吸い込んだ。