プルルルルル、ガチャ
「もしもし。三橋、です」
電話に出たのは、三橋君だった。
男っぽくない高い声は、電話でも変わらない。
「も、もしもーし・・・もしも、し?」
無言のまま、反応を窺う。
興奮しているから、こちらの息遣いが聞こえないか心配だ。
何か言おうか。でも俺は気持ち悪いから。
三橋君に嫌われたくないから、黙っていよう。
ガチャ
「廉。誰から電話?」
「わかんない。何も言わないから、切っちゃった」
「そう。間違い電話だったのかな」
プルルルルルル
「今度はお母さんが出るわ」
ガチャ
「はいもしもし。三橋ですけど」
声が変わった。女の人の声だ。
お母さんかな?可愛い声だ。
どうしよう。三橋君と何か話そうと思ったのに。
いいや、切っちゃえ。
後でまたもう1回かけて、三橋君と話そう。
ガチャ