生まれて初めて恋をしたのは、16歳のときでした──────
「好き、だ」
夏の暑い日だった。
日差しがギラギラしてて、蝉の鳴き声がミンミンうるさくて。
くらくらするほどの熱気に、たぶん当てられたんだと思う。
気づいたらオレは告白していた。
「三橋?」
戸惑ったような声に、きゅっとオレの勇気が小さくなる。
な、なんてこと、いっちゃったん、だ!
恥ずかしさに、カアアアと顔が熱くなった。
それでも、オレはもう一度、相手に言ったんだ。
「好き、なんだ」
だってそれはオレの初恋で。
オレはその人が、好きでたまらなかった。
例え、男だとしても。
ドキドキする。
オレはとにかく、告白したことに、いままで必死に隠していた気持ちを
ついに口にしたことで、舞い上がっていた。