>804 俺、これから部屋の片付けだ。片付いたら、レンとカレー食べるんだ。
「なんだ?」
「えっと。
すずきは、若い頃、どんなだった?」
思い掛けない質問に、なんて答えようか、うーん、と、悩む。
「別に普通の子供としか言いようがない感じだったな。
成績は中の上だったけど、運動はあんまり出来なかったし、友達少なくて。
あ、将来は遺伝子操作、仕事にしようと思ってたけど。
……初恋の子には、告白、できなかったよ、俺は」
「そっか」
「義務教育終えたら、すぐに専門学校入って。あーでも、愛玩人やるとは思ってなかったな」
「ふーん」
話が終わっても、俺の顔を見つめるレンに俺も見つめ返す。
「それぐらいだよ。他に何か質問は?」
一拍間を置いて、レンは首を振る。
「ううん、なんでも、ない、です」
それ以上は訊かずに、俺達は店に戻った。
*
10月16日(木)晴れ
今日は田島が16歳の誕生日とかで来店した。レンを試した。
買いたいって言ってたけど、金がないんで仕方ない。
自分の若い頃を思い出して、センチメンタルな気分になった。
夕飯は味噌カツだった。うまい。
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「あけおめー!!」
新年明けて、三が日も済んだ頃、田島が来店した。
「おう、おめっとーさん。今年もよろしくお願いします」
「うっしゃー、鈴木!これを見ろっ!」