>>498 ここまで
術式に使われる板か紙を、見つけられるものならすぐにでも押さえてしまいたかったが、日曜のため校舎は開いてない。
それでも探せるところだけはとベンチやグラウンド周辺を捜索する。
「阿部、犯人が△△中出身の2年て考えが当たってる前提での話なんだけど…」
西広が、かがんだ三橋の頭越しに阿部に話しかけた。
「それ言うな、違ってりゃまた動くまでだろ」
「うん、ごめん、俺どうしてもなんか引っかかっててさ。でもそれが何なのかわかんないんだ」
「あきらめろ。お前にわかんねーこと、俺が先に気づくかって…つか三橋、お前何やってんの」
三橋は二人の間でかがんだまま固まっていた。さらにその姿勢でキョドっている。
「もしかして三橋、あの、頭上げていいんだよ?」
「ごご め、オレ、ふたりっ、あいだ、じゃま」
「…はァ?西広、通訳しろ」
阿部も胸中に、何だか分からない微妙な引っかかりを感じていた。
だが分かりもしないのに言い出しても仕方ない。
とにかくどんな可能性にもしがみついて動いてやる、今はそんな気持ちだった。
15分ほど行われた捜索は、物を隠せるような場所がほとんどないことと、辺りの暗さにやむなく中断された。