言葉がぶつかって、はねかえってそれはオレにもかえってきた。
ずきずき、ちくちく、なんて言ったらいいのかわからない。
こんなの初めてだった。
「あ、あべく……」
返事が欲しい。
阿部君は今なにを考えてるんだ。
手が冷たくて、震える、緊張してるのオレだけじゃない。
阿部君がオレを見て、オレが阿部君を見る。
指を絡ませたまま擦り合わせるみたいにして、そしたら冷たいのもちょっとマシになった気がした。
さっきまでなかった生暖かい吐息の感触に目を閉じた。
なんだろう、これ。
今の気持ち、言葉にするのきっと難しいんだ。
思い込みかもしれないけど、それでもいい。
唇を閉じたままにしてると、阿部君の舌が合わせ目をなぞるみたいに動き始めた。
いつもみたいにすんなり唇が開けられなくて、体がうまく動かない。
初めてした時、みたいに。
「三橋、口開けて」
唇が離れて、ぼんやりしながら阿部君を見た。
今度は指が濡れた部分をなぞる。
くすぐったさに唇が震えて、薄く合わせ目が開く。
すぐに気配が近付いて、ぬるりとした感触でいっぱいになった。
ぴりぴりして、ぬるついてて、あったかくて、やらしー音。