そろそろ小スカ注意
「はあ? しょんべん?」
阿部君の眉間に皺。
うう、どうしよ、でもおしっこ、今にもでちゃいそう。
「このへん便所なんてさっきのコンビニぐらいしかねーぞ」
「う、うう、と、遠い」
股のとこ、いつもより布が少ないのにスカートだからちょっと動くだけで生地がすれる。
我慢我慢我慢だって踏ん張ってもぞわぞわがすぐそこまではいよってきているのがわかった。
「我慢できねーの?」
「む、無理」
ざっと砂浜から立ち上がって小刻みに足踏みする。
動いてないとじょわじょわーってきちゃう。
限界はもうすぐそこだ。
「つってもこんなとこで立ちションすんのもな……そうだ、ちょっとこっちきな」
海で立ちションなんかより、おもらしのほうがよっぽど問題だ。
慌てるオレとは対照的に落ち着いた阿部君に腕を引っ張られる。
足元はどたどたと不格好な足踏みをしたままだったけどなんとか前に進んだ。
阿部君がオレを引っ張っていったのはテトラポットの群れがあって、ちょうど影になる部分。
二人して狭い隙間にもぐりこむ。
ぶるぶる震える唇に鳥肌。
今オレ、絶対青い顔してる。
阿部君が掴んでた腕が離されて、それだけでうわああってなった。
大事なとこの、栓の蓋がとうとうとれちゃったみたいな。
そうか、オレ我慢するのに阿部君を無意識に支えにしてたのかもしれない。